花浅葱の思いつくまま 気の向くまま…
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弘法大師誕生の地
今日は38日目
目標地は善通寺なのでそれほど急いで
出発する必要もない。

昨日は結局歩き疲れて、ブログ更新の途中で眠ってしまった。
寝てはだめだという意識があるので、ほぼ1時間ごとに
目を覚ますが、結局5時まで寝て残りの作業をする。
朝食をとりながら更新を終え、昨日通り過ぎて
まだお参りを済ませていない本山寺へ一旦戻る。

お参りを済ませ宿に戻ると8時半。
いくらゆっくりでもいいからって、少し遅すぎたかな。
71番弥谷寺までは11.3K。普通に歩けば3時間くらい。
写真を撮りながらだともう少しかかるだろうか。

香川県はため池が多い。神戸ついでため池の数は
全国で2位だそうだ。
しかし、ため池でこういう景色と出会えるとは
思っていなかった。

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庭で植木に水をあげているおじさんから
「がんばってね、まだだいぶあるから送っていこうか?」と
声を掛けていただくが、お礼を言い、今日はありがたく辞退した。

古い半鐘が残されている。
支柱の木が過ぎた年月を物語っているようだ。

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高瀬川にかかる橋の所で、ちょうどすれ違った人と挨拶をした。
川沿いの道を歩いていて、景色もよく、そのままどんどん
歩いていく。
気持ちいいなぁ〜 でも、遍路道の案内が見当たらない。
どうやら道を間違えたようだ。
地図を見ると先ほどの橋を渡らなければいけなかったらしい。

戻るのもイヤなので、遍路道へ戻れるよう
何度も道を曲がりながら、斜め方向へ進んでいく。
でも、道を間違えたから見える景色もある。

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やっと弥谷寺に着いた!、と思ったがあと1Kの標識。
そして、道は山のほうに向かって伸びている。
「?」
なんかイヤな予感…
地図をきちんと見ていない私が悪いのだが、
弥谷寺は小さな山の上のほうにあった。

こんどこそ「着いた!」と思ったら、目の前には
延々と伸びる階段が。
「…」
上るしかないよね。

ゆっくりと上っていく。
自然のトンネルの先に、階段上の風景が見えてきた。

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上がりきったとたん、上のベンチで休んでいた人が
「ご苦労様、疲れたでしょ。本堂まではもうひと踏ん張りあるよ。」
「え?」

さらに奥にある階段を上って、やっと本堂にたどり着く。
昨日の雲辺寺のほうがよっぽど高いところまで上っているのに、
予期せずして上らなければいけないほうがこたえるのはなぜだろう。
やはり覚悟の違いだろうか。

お参りを済ませ、次の72番曼荼羅寺へ向かう遍路道を進む。
どこに道があるかわかりますか?

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73番出釈迦寺までは600m。
曼荼羅寺でお参りをしていると団体さんがやってきたので
逃げるように出釈迦寺へ向かう。

ここで、今朝から別行動をしていた東京のYさんに会う。
彼は北海道のYさんとこの寺で別れ、さらにこの上の山にある
捨身ヶ嶽禅定へ行ったとのこと。
とても見晴らしが良いので行ってみたら?と勧められたが
弥谷寺の階段で少し疲れていたのと、香川に来たのだから
お昼にうどんでも食べようと思っていたのに、うどん屋さんが
見当たらず、結局きちんとお昼を食べずに、ここまで
来てしまっていたので、こちらもありがたく遠慮した。

Yさんも今日は善通寺付近で泊るというので、
ここから一緒に歩いていく。

74番甲山寺を経て、75番善通寺へと向かう。
今日はここにありました、ご当地マンホール。

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善通寺は弘法大師が誕生した地として有名。
1200年の歴史があるというから驚きだ。
境内では子供が遊び、人々の親しみ深さを感じさせる。
他のお寺にはない雰囲気が、ここには漂っている。

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今日、うどんを食べ損ねた私にYさんが付き合ってくれ
念願の讃岐うどんを食べる。
小・大・特大があり、大を選んだら通常の2倍量だった。
ぶっかけで220円。さすが本場は違う。
おでんのたまごと大根をもらっても380円。
安上がりな夜ご飯。

明日はここに留まり、少し離れた別格や金比羅さんに
行ってみようと思う。

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毎日の積み重ね
今日は37日目
雲辺寺に向かう日がとうとうやって来た。
今までいろいろな山に上ってきたが、やはり88ヶ寺の中で
最高峰ともなると気持ちが引き締まる。

日数が残っていないので、ロープーウェイで登る事も考えたが、
今までの山々を登って来て、ここだけ登らないのも気分が悪い。

朝6時半に出発、登り口まで送ってもらう。
先日の横峯寺でも上の方は雪が残っていたので、
遍路道ではなく、県道268号を行く事にした。

歩き出してすぐ、山の向こうから朝日が顔を出した。

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少し上がっただけなのに、目の高さに山々の重なりが見える。

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朝のピンッとした空気の中、ひたすら上り坂を
歩いていく。

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雲辺寺まであと2Kの看板を過ぎたあたりから、
急に残雪の量が増えてきた。
雪がところどころ日ざしに反射して、キラキラと光っている。

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雲辺寺の参道に入ると、道はすっかり雪に覆われていた。

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やっと仁王門に着いた。
遍路道を登ってくると仁王門のところに出てくることが多い。
ロープーウェイを使うと、わざわざここに来ない限り、
見ることはないだろう。

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仁王様のこめかみには血管が浮き出ている。

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残念なことに雲辺寺の本堂は取り壊され、新築工事の最中だった。
どんなお堂が建っていたのだろうか。

下りはロープーウェイを使うことにする。
乗り場に向かう途中、70歳ぐらいのお遍路さんと一緒になった。
私は今回が初めてだと話し、そのかたに何回目ですか?と聞くと
「111回目。」という返事。
「111回!」
あまりの多さにびっくりする。
歩きではなく、ほとんど車で回っているそうだが、
それにしてもすごい。

一緒にロープーウェイで下に降りた。
歩いていこうとすると、その人が車に乗ってきて
「よかったら萩原寺まで乗せていこうか?」と言ってくださったので
ご好意に甘え、お願いすることにした。

別格16番萩原寺を打ち、67番大興寺へと向かう。
今日はどこまで行けるかわからなかったので、
宿の手配をしていない。
宿のある地域で、体力との相談になりそうだ。

大興寺へ到着。
お参りをしていると、雪崩のように団体の参拝者が
流れ込んできた。
バス2台分。お寺はいきなり喧騒に包まれる。

少し遅めのお昼を食べようと思っていたが、
この状態ではとても食べていられない。
他のことをして少し時間をつぶす。
団体の方が去ってしまうと、また恐ろしいほど静かな空気に
支配される。

ここですでに14時。次の68番までは8.7Kあるので
2時間では着かない。
ここには69番もあるので、お参りの時間を含めて考えると
今日は69番止まりか。

とりあえず69番まで行ってみよう。

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これってマンホール界で知らない人はいないんじゃない?
あまりにも有名な「寛永通寶」

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「浸水橋」を思わせる橋。

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68番に着いた。
多くのお寺は、鳥が入れないように仁王像の設置部分を
金網で囲っている。
お寺ごとにいろいろな仁王像があり、見ているだけでも
楽しいのだが。

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68番神恵院と69番観音寺は同じ敷地内で並んでいる。
神恵院の本堂は、コンクリートの打ちっぱなし。
ただただ、ため息…

お参りを終えると、雲辺寺を自分の足で降りて来た北海道のYさん、
東京のYさんがここまでやってきた。
今日はどこまで行くのか、という話になり、70番近くの宿に
泊るという。
ここから70番本山寺までは約4.5K、1時間では着かない。
時間は17時を過ぎているが、まぁ、ついて歩いてみるか。
幸い部屋も空いていたので、そこに泊ることにした。

話しながら歩いていく。
景色がだんだんとうす暗がりに包まれてきた。

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買い物を済ませ宿に着くと19時だった。
外はすっかり真っ暗だ。
この旅始まって以来の長時間歩行。12時間?
距離だけ見ればたいしたことはないだろう。
だが、今朝は雲辺寺を越えてきている。
それすらも、すでに忘れそうな感覚。

一人ではここまで来れなかったな。

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寺に惚れる
今日は36日目
残り時間は少ないのだが、今日は足踏み状態で
別格15番箸蔵寺への往復だ。

宿から山の麓まで2時間。そこにはロープーウェイもあるが
せっかくなので歩いて上っていくことにした。

天気がいいとの予報だったが、部屋を出ると
8時だというのに薄暗い。
いつ雨が降ってもおかしくない空模様。

宿は高台にあるので、下まで降ろしてもらうのだが
少し離れた遍路道の入り口まで送ってくれた。
車を降りたらすでに小雨が降っている。
今日、雲辺寺には行かないということにして
よかったのかもしれない。

気温が低いので、いつ雪になってもおかしくない。
吉野川にかかる、徳島自動車道の橋。
天気の悪いほうが良く見えるものもある。

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向かう先は霧に包まれている。

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ずっと川沿いに歩いていく。
人しか通れない、繊細な造りの橋。
ひっそりと、渡ってくれる人を待っているようだ。

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まれに雲の切れ間から光が差す。

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以前、ここには橋が架かっていたのだろう。
取り壊された残骸が、古い城のように見えた。

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別格は地元の人以外、訪れる人が少ないので
わかりやすい案内が出ていない。
ロープーウェイ乗り場のすぐ近くに来ているはずだが
乗り場案内の標識が見当たらないので、
ちょうど近くにいた宅配便のかたに尋ねてみる。

「箸蔵寺に行きたいんですが、ロープーウェイ乗り場は
どこでしょうか?」
「ロープーウェイに乗るんですか?」
「乗りません。」
「歩いていくんですか?」
「そうです。」
「歩いて?!」
「はい。」
「…、そこには上る道がないけど…。」
「人しか通れない道があるんです。」

ロープーウェイ乗り場に着いたときには、
雪が激しくなっていた。
といっても、もちろん遭難しそうなほどではないので、
乗り場横にある、とても目立たない遍路道から上がっていく。

仁王門に着いて安心したのもつかの間、そこから延々と階段が続く。
やっと本坊があるところに着いた。すると、本堂はまだ上との案内板。
まったく地図を見ていなかったが、標高500mのところに本坊が、
540mのところに本堂があると書いてあった。

納経所でお孫さんの合格祈願に絵馬を購入していた老婦人が
本堂の場所を知らない私に「一緒に上がりましょう」と
言って下さり、上へと向かう。

本堂と大師堂の場所を教えていただき、
途中にある、学問の神様に向かう道のところで別れた。

階段を上り詰めるとそこに本堂が。
「すごい!」
もう、この一言である。
堂々たる風格。繊細な彫刻。
思わず見とれてしまうほどだ。
しかも、辺りは雪に覆われている。
ここまで来た中で一番。
完全に惚れた。

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お参りを済ませても、しばらくそこから動けない。
雪が降りしきっているというのに、そんなことはどうでもいい。

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だか、雪が写真に写ってしまうので、一旦大師堂へ向かう。
こちらのお参りを済ませると、ちょうど雪が小降りになったので
また本堂へと戻り写真を撮る。

こういう写真って、とても難しいと思う。
建物全体が入るように撮ると、繊細な彫刻がわからないし、
彫刻によってしまうと、全体の雰囲気がつかめない。
その点、やはり人間の「目」はすばらしい。
「想像力」と結託して別々なものを見ながら
融合する力を持っている。

現在、カメラにできることは人の笑顔を判別することぐらい。
しかも、心の底から笑っているのかどうかまでは
わかるはずもない。

階段を下り、本坊の前を通り過ぎようとすると、
ここにも何気にすごい飾り戸?があった。

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まったくすごいお寺だ、と思っていると
本堂、護摩堂、本坊など、繊細な彫刻やその他の装飾、また
建築物が認められ、国の重要文化財に指定されていると記されていた。
なるほど、納得である。

そろそろ帰らなければならない。
明日は雲辺寺が待っている。
宿の女将さんからおいしいと聞いた、ロープーウェイの麓にある
「さぬきや」といううどん屋さんで昼食をとる。
香川県に近いだけあって、これも納得のおいしさと安さ。

同じ道を歩いて帰る。
今日は荷物も軽いし、明日の為の良い足慣らしになっただろうか。
天気はまた雪交じりの小雨になっている。
霧の向こうにはまた徳島自動車道が見えてきた。

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別格への苦悩
今日は35日目
ここのところよく顔を合わせる女性のお遍路さんがいる。
私の母より年上だと思われるその人に出会ったのは
お寺の境内だった。
私より少し遅れてやってきたのだが、ちょうどベンチに座って
パンにかぶりついていたところだったので、少し笑いながら
挨拶をした。

それだけのことなのだが、お互い印象に残ったらしく
その日は3つぐらいのお寺を時間差で回る状態になり
会う度に少し話してすれ違った。

彼女は移動距離の長いところを乗り物で、それ以外を
歩きで回っていて、「行ける所まで行く」というスタイルで
ハイペースな遍路を進めていた。

次の日、タクシー会社の方に車で連れていってもらったお寺で
また彼女に会った。
昨日最後に会った場所からそこまで、その時間に歩いて来ることは
まず無理なので、お互いに「どうしてここにいるの?」と
そこに至る経路を話し合った。

その次に会ったのは、横峯寺に上った日に泊った宿の、
風呂場の脱衣所だった。
誰も入っていないから、といわれ風呂に行ったら人の気配がする。
ノックして「失礼します」といいながら入ると、そこに
心配そうな顔をした彼女がいた。
お互いに「もう、やだ〜」といいながら、よく会うねと笑いあった。

その次の日、彼女は横峯寺へ、私は別格経由三角寺の麓へと
まったく別の行程だったが、宿で夕食を終えて部屋に戻ろうとした時、
廊下でばったり会って、二人で笑い転げてしまった。

縁のある人とは、打ち合わせをしなくても何度も会ってしまう。
今日は三角寺の登り口で別れたが、また会う日があるのだろうか。

私も三角寺の登り口でバスを降りるつもりだったが、
運転手さんから「奥の院に行くならこのままバスを乗り換えて
行ったほうがいい」と言われて、急遽予定変更となった。
奥の院と言われて最初はわからなかったが、それは
今日行く予定をしていた別格13番仙龍寺のことだった。

65番三角寺、66番雲辺寺を絡めて別格が3箇所あり、
そのうち2つがとても行きにくい場所にあるため
泊るところも含めてどう行程をとるか、
北海道のYさんからアドバイスをもらっていた。
ちなみにYさんからは
「初めての遍路で別格も行くのは無謀」といわれたが、
別格を回ると、その意味もよくわかる。
なにしろ、とんでもない場所にあるところが多い。

第3セクターのワンボックスバスに乗り換え、
仙龍寺の前で降りる。
まさか、こんなところまで来ているバスがあるとは知らなかった。
しかも週に4日しか稼動していないとのことで、
今日はたまたま稼働日にあたり、運がよかった。

階段を上がって本堂へ向かう。
地形的になんともすごい場所に建っている。
昔は木でできていたのだろうが、山の水の通り道から
底上げされて作られた平面に、お寺があるのだ。
建物が大きくて、写真に納まりきらないのが残念。
本堂ではないが、なんとなく雰囲気は伝わるだろうか。

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これは本堂よりも高い場所の、山肌に建てられている。
いつの時代に建てられたのか知らないが、
よくぞこんな場所に建てたものだ、と感心してしまう。

ここから三角寺に向かうのだが、コースは2つ。
歩きの遍路道か、自動車道。
もともと自動車道を行くつもりだったが
バスの運転手さんから仙龍寺で道筋を必ず確かめるように
いわれたので確認したところ、
「今の時期にこの遍路道を歩いたら、間違ってハンターに狙われるから
危ない」という。なんとも恐ろしい。

自動車道は堀切峠を越えていく。
車もほとんど通らない、寂しい道。

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歩いていくと、三角寺へ向かう道に突き当たる。
この道もほとんど利用されていないようだ。

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お参りを済ませたら、また同じ道を引き返し、
別格14番常福寺(椿堂)へ向かう。

山の車道を抜けると、棚田が広がる。

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椿堂は雲辺寺への通り道にあるので、簡単に行くことができる。
しかし、三角寺から6K程度のはずなのに、
今日は足が進まないせいか、遠く感じる。
ちょうど中間点に休憩所があるが、そこですでに疲れていた。

椿堂に着いたときには疲れ果てていて、
お参りをした後、しばらくぼ〜っとしてしまう。

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椿の文様がかわいらしい。

今日の宿へは愛媛県の県境を越えて、徳島県に入る。
今いるのはちょうど愛媛、徳島、香川の県境にあたる地域。
今日は一日中雨だった。
県境のトンネルを抜けると、里は霧に包まれていた。

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宿はかなり離れた場所にあるので、近くまで迎えに来てもらう。

明日は別格15番箸蔵寺への往復で終わるだろう。
その後には88ヶ寺中、一番高所に位置する雲辺寺が待っている。

今までに、別格だけで1日費やした日が何日あっただろう。
ここまできたのに、あと6ヶ寺も残っている。
これからまだまだ、別格への苦悩は続くのだろうか。


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ただの旅人となる
今日は34日目
次の64番前神寺を打つと、次の65番までは45K程度ある。
65番の三角寺はまた山の上だ。
当然、私は1日でそこまで行くことができないし、できたとしても
そのお寺に泊れるわけではない。

幸い、前神寺から三角寺の麓まで鉄道が走っている。
JR予讃線だ。
だいたい1時間に1本しか電車はないが、
時間短縮のためこれを利用することにした。
ただ、途中で別格12番延命寺に行かなくてはならない。

朝起きたら雪が降っていた。
でも、積もるほどではなさそうだ。
宿から64番までは緩やかに山を下るような感じで降りて行く。
途中の道まで宿の犬がついて来て、こちらからその犬の姿が
見えなくなるまで、延々と私を見送ってくれた。
この頃にはもう雪はやんでいた。

64番を打ち、JR石鎚山駅へ向かう。
天気は良くなってきたが、風が強い。
電車が来るまでに時間があったので駅舎で待っていると
無人駅だが「事故のために遅れています」という
アナウンスが響く。
どちら向きの電車が遅れているのかがわからないが、
電車が来る時刻の5分前になったので、ホームへ向かう。
この景色だけ見ていると温かそうだが、ビユゥ〜と音を立てて
風がホームを通り抜けていく。

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時間になっても電車が来ない。
どうやら私が向かおうとしている方の電車が遅れているらしい。
ホームには風を遮るものがまったくないが、
いつ電車が来るかわからないので、駅舎にも戻れない。
5分、10分と時間は過ぎ、20分近く遅れて電車はやってきた。
私はもう完全に凍えた状態だった。

毎日歩いているからあまり寒さを感じないだけで、
本当は寒いんだね。

実はここから、この電車には1区乗るだけで、連絡している
電車に乗り換えるのだが、当然、連絡していたはずの
電車は行ってしまっていた。
ここで、1時間に1本しかない路線の悲しい現実に直面する。
次の電車は50分後なのだ。

次の駅まで歩くといっても1時間以上かかるし、
ここを走る路線バスはないかと尋ねたが、あっても乗換えで
結局は50分後の電車を待っていたほうが早いという。

ホームは寒いので了承を得て駅舎の中に入り、
キヨスクをうろうろしたり、今後の予定を考えながら時間をつぶす。

その電車はここが始発なので、早くやってきて
発車を待っている。
すぐに乗り込むが、電車の中はとても暖かい。
昨日寝不足の私は、電車が走り出すとすぐに
うとうとと眠ってしまった。

ドキッとして目を覚ます。
電車が停まっていて、窓の外を見ると
下りなければならない「伊予土居」の文字が見え、
慌てて下りる。
降車口の近くに座っていて良かった。

延命寺まではここからそんなに遠くないが
次の電車の時間があるので、そんなに急いでも仕方がない。
のんびり歩いていると、
「お遍路さん、どこ行くの?」とか
「今日の宿は決まっているの?」など
何人かに声を掛けていただく。
やはり電車に乗ると、こういうことは圧倒的に少なくなる。
そして、写真を撮ることも少なくなる。

延命寺でお参りを済ませ、数珠玉を授かろうと納経所に行くと
「このベルを大きく鳴らしてください」の張り紙がある。
その通りに鳴らしてみたが、人が来る気配がない。
何分か待って、結局3回ベルを鳴らしたが誰も来ないので
電話をしたら、慌てて来てくれた。
それにしても、のんきだなぁ。
悪く言ったら「盗り放題」である。

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そこからまた先程降りた駅へ向かう。
蔵のような建物に、漆喰だろうか、龍が浮かび上がっている。

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またここで電車の待ち時間。
同じように待っているおじさんが、コーヒーを自販機で買って
お接待してくれた。

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あんまりにもつまらなさ過ぎる写真なので、少し加工。

ここから伊予三島まで電車に乗る。
ここが次に向かう三角寺の麓にある町。
明日はここからまた山のほうへ分け入っていく。

宿に向かう途中に。

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今日は電車に乗り継ぎ、ただの旅人となった。
最初の頃のような、写真が撮れない事に対しての
焦りを感じなくなってきている。
それが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。
そして次の三角寺で伊予の「菩提の道場」は終わりを告げる。

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横峯寺への道
今日は33日目
昨日はご好意により、すっかり足休めをさせていただいたが
今日はそんなわけにはいかない。
62、63番を打った後、標高745mの60番横峯寺に向かう。
横峯寺は少し前、かなり雪が積もっていたという。

泊まった宿から考えると、コースは2つ。
一つは歩きの遍路道。もう一つは自動車道。
以前登った金山出石寺のこともあり、少し心配だ。
別格6番の龍光院さんに伺ったとき、
そういう時はそのお寺さんに聞くのが一番、との
アドバイスを頂いていたので、横峯寺に電話する。

雪の状態や、歩いていく場合どの道を選択するのがいいのか等
伺うが、「どの道にするかは好き好きですから。」とそっけない。

とりあえず、62、63番を打とうと思い宿を出発。

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昨日は風がとても強かったが、今日は比較的穏やかだ。
せっかくだから遍路道を登って、自動車道を降りようか、
などと考え始める。
しかし、民宿来楽苦のご主人の言葉が引っかかっている。
「遍路道で雪が多いとどうしようもないから。」

お寺さんに聞いてもわからないし、考えていて
わかるものでもないので、ここはやはり経験豊富な
あの人に聞くのが一番だ。
北海道から歩いてきているYさんである。
早速電話すると「元気〜?」と明るい声が返ってきた。

横峯寺への道は、車も上がれない状態とのことで
遍路道より自動車道がいいよ、とのアドバイスを貰う。
よかった。これで安心して登っていける。

横峯寺の登り口へ向かう途中にもありました。

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午前中に雪が降るかも、と天気予報は言っていたが
とりあえず今のところは大丈夫。

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良いお天気だと登る気力も増してくる。

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今日の宿はまだ決めていなかったが、Yさんからの
アドバイスで、登り口のところにあるお宿にしたいと思い
電話をするが、出ない。
仕方がないので直接行って、だめなら別なところを探そう。

奥の方には雪をかぶった山が見える。
まさかあれじゃないよね…

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車はたまに通っても、人影はまったくない。
ふと、背後に何か気配がする、と思ったら
私の横を自転車が走り抜けていった。

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最初は3人だったが、後から後からやってくる。
自転車でこの長い坂道はきつそう。
どこかのショップチームらしかった。
「どこまで行くんですか?」と聞かれ
「横峯寺です。」と答えると、
「うゎ、めちゃくちゃ遠いですね〜」
「ハハハ、そうですか。」
はぁ〜、めちゃくちゃ遠いんだ。

「頑張ってください!」と言って、さわやかに走り去っていった。

道だけしかないところを上っていくと、湖が現れた。
「黒瀬湖」だ。

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ここまで来れば、もう宿は目の前のはず。
直接行って交渉、OKを頂きほっとする。
ここに荷物を置かせてもらい、上へと向かう。

この道は途中に料金所があり、有料道路になる。
普通車でも結構高い。道はこんなんだけど。

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昨日、足休めをしたせいか快調に上っていく。
やはりところどころに雪が残っているが、場所によって
雪が凍ってしまっているところがある。

日曜日ということもあり車が何台も上っていくが、
途中から引き返してくるものも多い。
「上は凍っているよ。」と忠告してくださる方もいる。
注意深く歩を進めながら、横峯寺に到着。

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お参りをしている間に、激しく雪が降ってきた。
と思うと、すぐ小止みになり、また激しく降る。
積もるほどの振りではないが、かなり寒くなってきた。

少し休憩して、すぐに下る。
上るときはすぐに体が温かくなり汗ばむほどだが
一度冷えると、下りではなかなか温かくならない。
とりあえず、天気がもってくれてよかった。

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登り口の宿は温泉なので、ゆっくりつかる。
出石寺を経てきたせいか、すごく大変だったという
感じはなかった。
ただ、雪が多かったり、凍っていたりすると
やはり注意が必要だと思うので、この先待っている
山々にも油断せず、臨みたいと思う。

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思いがけない展開
今日は32日目
残り日数、おおよそ11日。
これで残りのすべてを徒歩で回り切るのはまず無理だ。
88ヶ寺だけでも難しいのに、別格がかなり残っている。
昨日道後温泉でゆっくり?したばかりだが、
今日は移動距離の長いところで電車を使おうと思う。

ビジネスホテルで朝食を済ませ、出ようとすると
なんと、おにぎりのお接待を頂いた。
ビジネスホテルでは、まずないことだ。
小さなホテルだったが、外湯に行くときに
お風呂セットを用意してくれたり、コーヒーが
好きなときに飲めたり、室内物干しを貸してくれたり
とにかく至れり尽くせり、大きなところにはない
細やかな心配りのできる、温かいホテルだった。

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とりあえず電車に乗る前に52、53番を打たねばならない。
その前に、実は足摺岬の宿に泊ったとき、
そこに遊びに来ていた松山にあるタクシー会社の
おっちゃんたちと夕食時に話す機会があり、ある約束をした。
51番石手寺を打つ前日に足摺の宿の名前で電話を掛けてきたら
「タルト」をお接待するから、電話しろよ〜 と言われていたのだ。
「タルト」とは、ご存知の方も多いだろうが、洋菓子のそれではなく
ほのかにゆずの香りがする松山名物のお菓子である。

むこうは酔った勢いもあるし、からかい半分、冗談半分という
ところもあっただろうが、絶対電話して来いやというので
OKしていた。

その会社は52番よりも前にあるので、今日1つ目の訪問地だ。
近くまで行き、電話をかける。
会社に着くと、ちゃんとタルトを用意して待っていてくれた。

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その場で一つ食べながら今日の予定を話していると、
非番の人が53番で私を拾って、そのあと車でまわってくれるという。
残り時間の少ない私には願ってもいない話だが、
非番の人を呼び出してはなおさら申し訳ない。
そう話すと、その人はお寺回りをしたことがないので、
勉強のためにもいいから、と言ってくれた。
気にすんな、お接待や、との言葉にまた甘えることにした。

まずは52番まで歩く。
このあたりは中心地に近いが、少し離れるとすぐに
いつもののどかな風景に変わる。

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53番に着いたのは11時45分ごろ。
お参りを済ませると、すでに駐車場で待ってくれていた。

お昼ごはんまでお接待していただき、車での遍路が始まる。
次のお寺までは距離がある。
海岸線をずっと走るが、今日は風が強いので白波が立っている。

56番泰山寺、だと思う。
車に乗っていると、結局お寺の写真しか撮らなくなる。
一つのお寺で本堂と大師堂があるので、両方撮るとき、
片方しか撮らないとき、全然撮らないときがあり、
わからなくなってしまう。

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その次の57番からはまた点々とお寺が続く。
歩いていくと1時間かかるところが、車だとすぐに着く。
私の中はすっかり「歩き時間」に変わっているようで、
この流れの速さに戸惑ってしまう。

こういうときにもマンホールはある。

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たぶん57番の栄福寺。
彫刻がすばらしいし、面白い。
目の上の毛?が星型になっている。

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中央の龍の尾が、向かって右側の柱に
巻きついている構成も珍しい。

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連れていってくれる非番の人はお参りをしないので
待ってくれているのだが、その間にポンカンを買ってくれた。

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その後、58、59番を打ち、別格10、11を打ち61番を打った。
別格は数珠玉を授からないといけないので17時までに
行かなければならないが、少し過ぎそうだったので電話をして
何とか数珠玉を授けていただいた。

怒涛のごとく回った1日だったが、お陰で1〜2日分短縮できた。
いつも泊る前日の夜に宿を決め、予約をしているが、
今日はたまたま予約をしていなかった。

いつもどおりであれば、こういう展開にはならなかっただろう。
偶然や人々の好意により、今、この時間、この場所に
私がいるのだと思うと、ここに存在していること自体が
不思議に思えてくるのだ。

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道後温泉・お休みモード
今日は31日目
とうとう道後温泉に来た。
昔からお遍路は道後温泉で疲れを癒したという。
それに習って、今日は16K程度のお休みモードで
行程を組んでいる。
まぁ、温泉に入りたいだけなんだけど。

道後温泉は今回で2回目。
前回すでに本館に入っているので、すぐ近くにある
同じお湯の別な温泉に入るつもり。
なにしろ、本館は観光客で混んでいる。
あの建物の内部だって、一度見れば十分だし。

昨日は浄瑠璃寺前の宿に泊まった。
噂によれば「歩き遍路無料」とのことだったが、
どうもそれは昔の話で、今は普通の状態だった。
もちろんこれが普通なのだから、なにか不満が
あるわけではない。

今日は珍しくお参りするお寺が6つある。
歩く距離は短いが、その分お参りする時間がかかるので
宿に着くのは15時〜15時30分ぐらいの予定。
昨日同宿になった人が、北海道から歩いて来ている人の
友人で、今日の宿を勧めてくれた。
夕食の席で斜めむかえになって、少し話していたら
なんとなくピンッ!ときて聞いてみたら友人だとわかったのだ。
こういう偶然って面白い。

すこしゆっくりめに出発。
相変わらずの、のどかな風景。

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八坂寺まではすぐ。
「おへんろさん ごくろうさん」の看板がうれしい。
こんなことでも励まされるものなのだ。

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その次は別格9番の文珠院。
お参りを済ませ数珠玉を授かりに行くと、
納経をしないと数珠のご利益はない、と
怖い顔で言われた。
は〜 なんかがっかり。
それが本当だとしても
そんな言葉しか掛けられないの?
寂しい限りです。

なんとなく、足取りも重くなるが
「南無大師遍照金剛」と唱えながら歩くとあら不思議、
そんなこと、どっちでもよくなってくる。
私は私、ここまで歩いてまわれる丈夫な体と
ここに来ることができる時間や機会を授かった。
応援してくれる家族や友人もいる。
このお参りで特に願うこともない。
これ以上に何を望むというのだろう。

48番西林寺へはここから1時間ちょっとかかる。
今日はすごく暖かい。
歩いていると汗ばんでくるぐらいだ。
境内では2匹の猫が気持ちよさそうに日向ぼっこをしている。
1匹が写真を撮っている私の足に擦り寄ってきた。
もう1匹は伸びをしたり、地面に背中をこすりつけたりして、
一人で遊んでいるようだ。

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次のお寺に向かう途中に靴屋さんがあると聞いていた。
今は暫定的にスニーカーを履いている。
スニーカーはとても歩きやすいのだが、横のぶれに
少し弱いのと、これからまだ雪山があるので
できればトレッキングシューズを手に入れたい。

教わった場所にちゃんと靴屋さんはあった。
3種類のトレッキングシューズを履き比べる。
あいにくゴアテックスのものはなかったが、
やはりスニーカーに比べると安定感が違う。
本来ならば、慣らし履きをしてから使用するのだが、
今回はそうも言っていられないので、慎重に選んだ。

すぐに近くの郵便局からスニーカーを家に送る。
ザックには靴を入れる余裕など、まったくない。

そこから49番浄土寺は近い。
そして、その1.7K先に50番の繁多寺がある。

繁多寺から51番石手寺に向かう途中、「ねぇねぇ」と
呼びかけるかわいい声がする。
幼稚園ぐらいの女の子が「どこに行くの?」という。
「石手寺っていうところに行くんだよ、知ってる?」
「しってるよ。一緒に行こうかな〜」
「だめだよ、送ってあげられないもん。」
「なんで?」
「その次のお寺に行くから。」
「なんで次に行くの?」
「…」
なんでかな〜

私は88ヶ寺も納経をしていない。
最初のころに書いたかもしれないが、
1番の霊山寺で納経の意志をくじかれた。
ただ、それは霊山寺のせいではなく、結果として
私には納経が必要ないのだと思った。

私が次へ行くのは、歩くために目的地が必要だからか。
この地を歩くことでいろいろな景色や人に触れ、
歩く辛さや楽しさ、いろいろな体験を経て、
人間として少しでも大きくなれればいいと思う。

返事に困って
「次に行くことになってるんだよ。」といったら
「そんなの当たり前じゃん。」といわれてしまった。
彼女のほうが大人なのかもしれない。

次の石手寺に行くのも2回目。
このお寺は忘れようにも忘れられないインパクトがある。
日本的な仏像があるかと思えば、トーテムポールのような
彫刻があったり、統一感がまったくないのだが、
不思議な雰囲気でなぜかまとまっている。

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この屋根の造りだって、結構変わっていると思うけど。
不思議な感じが捉えられないのが残念。

ここまでこれば道後温泉本館はすぐそこ。
少し歩くと見覚えがある場所になってきたので、
地図を見ずに歩けるようになった。
このまま温泉に入りたいところだが、
まずは宿に荷物を置きたい。
それにチェックインは15時と伝えてあるのに、
もうとっくに時間を過ぎている。

昨日のマンホールとデザインは同じのカラー版。

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本館はあまりにも有名なので誰でも写真ぐらいは
見たことがあるだろう。
建物の後ろ側はこうなっている。

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道後温泉駅から路面電車に乗り宿へと向かう。
荷物を置いて、また温泉へ。
結局、なんだか忙しい。
でも、温泉に入って、路面電車に乗って、道後を満喫。
今日はすっかり「旅行」気分だった。


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みかんデー
今日は30日目
昨日の親切な女性Oさんと10時に約束をしているので
この旅始まって以来の、7時過ぎに起床。
8時から朝食をゆっくり食べる。
なんとなくお休みモードだが、今日は三坂峠が待っている。
三坂峠を上るのではなく、標高710mから一気に平地まで
下りるので、雪がある場合は注意するようにいわれている。

宿の女将さんはとても明るく冗談が好きな人で、
料理上手な大将が作ってくれる食事の材料は
ほとんど自家製。なんとも楽しくうれしいお宿だった。

10時ぴったりにOさんが迎えに来て、出発。
岩屋寺への道も複数ルートがあるが、遍路道は
標高の高い峠越えになるので、自動車道を歩いたほうが
いいと聞いていたが、今日はそこを車で走っている。
車だとあっという間だが、見ているだけで距離がありそうだ。

Oさんはもともと大宝寺の近くの出身らしいが、
小学校の遠足以来、岩屋寺には上がってないという。
この距離を小学生の遠足って…
しかも、行き先がお寺では楽しくなさそうだが、
他に手ごろな場所がないのだろう。

早くも岩屋寺に到着、時間は10時15分。
徒歩半日分が15分とはね。

岩屋寺は山の上なので、下ろしてもらったところから
慣れている人で20分、慣れていない人で30分だとか。
結構な上りなので1時間半を目安に、迎えに来ますと言って
彼女は少し離れた場所へお子さんを遊ばせに行った。

今日はまだ全然歩いていないのに、いきなり急な坂か…
歩き始めると確かに急だが、それはそれ、数々の山道を
こなしてきた足にはそれほどでもなく感じる。
第一、山に比べれば上りの距離が短い。

20分弱で到着。
これがうわさの、岩に埋もれたようなお寺か。

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確かに、屋根が岩にめり込んでいるように見える。
聞いた話だが、背後にある岩は砂岩で、
今も崩れることがあるらしい。

お参りを済ませ、いろいろなところをじっくり見て
また下へと降りていく。
ここは珍しく、参道に売店がある。
参拝に来る人が、多くあるからだろう。
当然のことながら、ここにも郵便屋さんは配達にやってくる。

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1時間半かからなければ電話をすることになっていたので
Oさんに電話をする。
ほどなくOさんが迎えに来てくれ、まずは往きと同じ道を引き返す。
ここから三坂峠近くまで送ってくれることになっている。

歩き遍路道の入り口は、小さな目印であることが多いので
車で走っていると見逃しやすい。
入り口からおよそ1.5K手前にトイレがあるので
そこで下ろしてもらうほうがいいだろう。

Oさんは入り口のありそうなところまで走ってみて
見つからなければトイレのところまで戻りましょうか、と
提案してくれたが、入り口のところで車が止められないと
いけないので、やはり手前のところで降ろして頂いた。
すっかり彼女に甘えてしまったが、これで少し日程を
短縮できる。
感謝の言葉は「ありがとう」以外にないのかな。
その言葉だけではとても足りない。

そこから歩いていくと、入り口はすごく目立つようになっていた。
そこにはすでに雪がある。
入り口脇にある家の方が庭にいらしたので挨拶をすると、
「いよかんを持って行かない?」と声を掛けていただいた。

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彼が手に持っていたのは5つ。
3つを手渡されたところで「重いから」と言って
2つを辞退しようとしたら、
「その辺で2つ食べてから行ったら?」と、結局5つ頂いた。
すぐそこが一番高いところだが、その下はかなり凍っているので
気をつけてね、との忠告。
お礼を言って、その場を後にする。

積雪は10cm程度と聞いていたが、体感はもう少しある。
忠告どおり、ところどころ完全に凍っていて、うっかりすると
ツルッっと滑ってしまいそうだ。

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すぐに峠。
はるか眼下に見えるのは、松山の街だろうか。

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もう転べない私としては、ここは慎重に進めよう。
だいたい山道なので、滑ったらどこまで滑り落ちてしまうか
わからないし。
短い距離で下るので勾配は急だが、雪のお陰で
それほどには感じない。

歩きの遍路道を抜けると、いきなり景色が開けた。

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しばらく行くと「網掛石」という珍しい石があった。
これは弘法大師ゆかりの石で、石全体に
網目の模様が付いている。

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46番浄瑠璃寺まではあと4K程度。

今日は一つ撮り逃してしまった… 残念。
これとは違う柄だった。

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浄瑠璃寺に到着。
ここは以前にも一度来ている筈だが、まったく記憶にない。
その時はまさか自分がもう一度ここに来るとは思ってもいなかった。
しかも歩いて。

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境内に面白いものがある。
「佛の足跡」
ハダシで踏みなさい、と命令口調の立て札。
佛の足裏って、こんな柄入りなんだ〜

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浄瑠璃寺に到着する直前、近くの畑から戻る途中らしい女性から
みかんを頂いた。

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途中で出会ったお遍路さんからも「重いから」といって
みかんを頂いた。
今日はみかんデーだ。
私ももう十分重いんだけど。
あいにく、あげられる人に出会わない。

でもいいか、こちらに来てからそばかす(この歳になったらシミ?)が
大量に増えてしまった。
バッチリ塗っている日焼け止めをもろともせず、
四国の日差しが降り注ぐ。
ここいらで、ビタミンCを大量に補給しようか。
一方で、徳島でできたしもやけが治らない。
なんか変なの。

明日は道後。
さすがに温泉ははずせない。
少し短い距離にして、ゆっくり浸かっていこうと思う。

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4つのルート
今日は29日目
もうすぐ1ヶ月だなぁ。
旅に出るといつもそうだが、最初の3日が非常につらく
1週間程度で慣れてきて、その後は帰りたくなくなる。
伊予の国に入ってからは寒さと強風のため
少しめげていたが、ここ2日ぐらいは暖かいので
気持ちが戻ってきた感じがする。
まぁ、皆さんに助けていただいているしね。
頑張ってね!っていう気持ちがあるから助けてくれる。
それなのに、めげてなんかいられない。

朝、宿から出るとあたりには一面霜が下りている。
伊予の国は特に顕著だ。
南天もまるで砂糖を振りかけられたよう。

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昨日、宿のご主人にくっつけてもらった靴底は快適だ。
半日もてば何とかなるって言われたけど。

今日は44番大宝寺を目指す。
そこに行くルートは大まかに4つ
1つ目は鴇田峠遍路道、2つ目は農祖峠越え
3つ目は畑峠遍路道、4つ目は車の道。

鴇田峠は標高790mのため、雪が多いと越えられないので
基本を車道で考え、雪の加減を見て農祖峠を選ぶといいと
宿のご主人からのアドバイス。
車道だと距離があるので、できれば農祖峠を通りたい。
当分は国道380号線を歩く。

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宿を出ると、出勤や通学の時間と重なるので、
狭い道でもガンガン車が走っていく。
歩道がないので、注意をしていないと危ないくらいだ。

いつものごとく、どんどん奥に入っていく。

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新真弓トンネルを抜けると、いきなり白い世界に変わった。

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もちろん今日降った雪ではない。
トンネルを抜けたところからは久万高原だ。
ここにもあります、マンホール。

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最初、道に毬栗が落ちているのを見た時は「おっ!」と
思ったが、伊予の国には栗がごろごろ落ちている。
あまりにもそこらじゅうに落ちているので、
見てもなんとも思わないが、家の近くなら拾うだろうな〜

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380号線から県道42号線に入りしばらく歩く。
そこで逆方向から来たお遍路さんに、
「こんなほうから来たの?車道を行ったら、もうすぐお寺に
着くころなのに。」といわれて「?」

地図を見ても明らかに車道のほうが遠い。
坂は少ないかもしれないが、もう着いているということは
あり得ない。
「まだ山を越えないといけないし、こんな方から来ちゃって。」と
その人は繰り返し言う。
私は「時間もありますし、引き返せないのでまぁ、いいです。」
と言っているのに、
「山を越えるだけで3時間半はかかるよ。時間がすごくかかる。」
と、何度もくどくど言っている。

ははぁ、こういう人がいるっていうのは聞いていたけど。
そんなに時間がかからないのに、かかるといって
その人が落胆するの見てを楽しんでいる人があるという。
それなんじゃない?どう見ても2時間半でお寺に着く。

「時間がかかるなら急がないと」と振り払い、先へ進む。
すぐに歩き遍路道の入り口があり、そこから入っていく。

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ここは小川に沿って登っていく、気持ちの良い遍路道。
コンクリートに固められていない川を見ると、
なぜかほっとする。

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すぐにところどころ白いものが見え始め、
峠に近づくにつれ、どんどん雪が多くなっていく。

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踏み固められたところは滑りやすいので、
踏まれていないがジャリジャリになった部分を歩いていく。
違和感を感じ足元を見ると、またぱっくり靴底がはがれている。
こういう時にこそ、トレッキングシューズがいいのに…
前よりもひどく、くっついているのはつま先から5cm程度。
切ったほうがいいのだが、分厚いゴムを切るものがない。

峠に着いた。
雪の中で石仏がひっそりと佇む。

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もうここからはほとんど下り、といっても
お寺自体が高いところにあるので、
平地まで下るほどではない。

お寺の近くに靴屋さんがあると聞いていたので、
ズリズリ引きずりながら、できる限りの速さで進む。

近くにあるはずなのに靴屋が見当たらない。
ちょうど近くの家から出てきた女性に尋ねると
少し離れた(食品)スーパーにちょっと置いている位しか
ないという話。靴屋さんはほとんど店を開けていないという。

スーパーがどこか尋ねると、いまからそちらにいくので
よかったら車で送るといわれ、ご好意に甘える。
彼女の幼い2人のお子さんと一緒に、車で向かう。
到着すると、サイズがないといけないから待っているので
とりあえず見てきてください、との親切なお言葉。

スーパーの雑貨のところに靴がある、という感覚が
ないので、うろうろしているとスポーツ用品店が
テナントで入っていた。
サイズを言うとあるようだったので、彼女のところへ行き
そのことを伝え、御礼を言って別れる。

2種類のランニングシューズを履き比べていると
彼女が現れ、ちょっとびっくり。
一人のお子さんを送って、様子を見に戻ってきてくれたのだ。
靴を買うと、大宝寺までまた送ってくれるという。
なんというありがたさ。

よかったら45番の岩屋寺にも連れて行ってくれるという。
ちなみに45番は今晩の宿から1日がかりで往復する場所。
そこに行くにはまた山道なので、新しい靴では少し心配。
明日でも良いですよ、とのありがたいお言葉に
甘えることにした。

大宝寺への上がり口に着いたのは4時。
彼女を見送ろうとすると、4時半に迎えに来ましょうか?と
もう、ほんとうにどこまで親切なんだろう。

そこまでしていただくと、さすがに申し訳なさ過ぎるので
大丈夫です、というと、5時を過ぎるといきなり寒くなるので
気をつけて、といって去っていった。

少し上って大宝寺に到着。
無事に打ち終えることができた。

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毎日のように、誰かが私を助けてくれる。
ここで受けた恩を、どう社会に還元するか
それが戻ってから課せられる私への宿題になるかもしれない。

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古い町並みの多く残る国
今日は28日目
昨日、出石寺から降りるルートは大まかに3種類あった。
一つは大洲に下りるルート。
もう一つは長浜、そして八幡浜。
今日の第1目標地、別格8番十夜ヶ橋は松山自動車道
大洲ICのところに位置する。
本当は八幡浜から上って大洲に降りれば効率的なのだが
荷物を置いてきているので、八幡浜方面の卯之町に戻った。
出石寺で話をしていたときに、荷物だけ宅急便で送り、
そのルートを行く人がいると聞いて、そういう方法も
あったのかと、少し驚いた。
特別便でなくても朝荷物を出せば、夕方に届くという。
なにしろ20〜40Kぐらいしか離れていないので、
同じ管轄内なら可能なのだろう。

私は同じ宿に戻ってしまったが、それはそれで
帰る時間が遅くなっても安心だと思ったのだ。

残された時間はおおよそ2週間。
今日は大洲に下りたつもりで、卯之町から伊予大洲までJRに乗り
そこから歩き始めることにした。
また、そうしないことにはこの後の宿決めが難しくなってしまう。

伊予大洲の駅を降りると、いきなり正面に鳥居が見える。

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朝の冷たい空気が張りつめている。

伊予大洲から十夜ヶ橋まではおおよそ1時間。
道路と面いちで、まったく階段がない。
他と違って、珍しく大師堂の木彫がいい。
ここまでやれば立派。

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ここの龍はかなりキュート。

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数珠玉を授かり、お寺を後にする。

毎日のように違う柄に出会います。

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それほど山の中でもないのに、
四国ではこういう風景が身近に存在する。

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国道56号線を経由して、歩きの遍路道に入る。
そこを抜けると内子の駅だ。
本当にこの道でいいの?

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内子の駅に出る前に、野球場と公園がある。
なんとなくまだ昨日の疲れが抜けないのか
足取りが重い。
今日はいつもより風も穏やかで、日差しが暖かい。
11時半だし、この公園でお昼にしよう。
今日もまた宿から頂いたお接待のおにぎりを食べる。

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公園には誰もいない。
「なかよしひろば」の名前が悲しい。

すぐに内子の町に出た。
過去の面影を残す古い町並み。
昔の芝居小屋「内子座」がある。
明治村に行ったことがあれば、特に珍しくはないかもしれない。

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こういう染物屋さんのほうが雰囲気をかもし出している。

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内子の町を抜けたら、国道379号線をひたすら進む。
次の目標は44番大宝寺だが、今日はそこまでたどり着けない。
途中の民宿が本日の最終目標地。

今日の行程は25Kぐらいなのだが、やはり昨日の影響が
足にきているようだ。
ここで無理をすると、この後の山が厳しくなるかもしれない。
大事をとって、少しバスに乗ることにした。
といっても、歩いていてバス停を見たら、たまたまその時間に
バスがあったというのではなく、バスが来るまでの間、
なるべく遠くまで歩いて、その時間になったら
バスに乗るというもの。

ふと見ると、鶏が放し飼いされていた。
勝手気ままに出たり入ったりしている。

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時間を見計らい適当なバス停で待っていると、
5分ほどで町営バスがやってきた。
少し小型のバスで、誰も乗っていない。
そのうちこのバスもなくなってしまうのでは…

3区ほど乗ったところで、あたりの雰囲気が変わった。
慌てて運転手さんに「ここは大瀬ですか?」とたずねると
そうです、という返事。
「降ります!」
「今日はどこまで行くの?」
「民宿喜楽苦までです。」
「まだここから1時間かかるよ。」
「大丈夫です。」

運転手さんは、ここには大江健三郎の生家があるとか、
米蔵や大瀬の館と呼ばれる建物があると教えてくれた。

ここ大瀬も、古い町並みにあわせた街づくりをしている所。
あいにく米蔵も大瀬の館も入り口が閉まっていたので
外観だけ眺め、宿へ向かおうとしていたその時、
靴の底がパックリとはがれてしまった。
「え〜〜〜っ、こんなところでどうするの〜」
なにしろ相変わらず店がない。

幸い、靴底は2層になっていて、はがれたのは一番外側。
近くの○○商店で「ボンドはありませんか?」とたずねると
ずっとまっすぐ行ったら文房具屋さんがあるから、
そこじゃないとないね、といわれた。

そこで、工作に使うような「ボンド」を買い、宿へと向かう。
パカパカさせながら、重い足で歩いていく。

だんだんとまた山方面へ向かっている感じだ。

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やっと宿に着いた。
やはり、この1時間は長かった。
ご主人に靴の底がはがれたことを言うと、
買ってきたボンドですぐにくっつけてくれたが、
もって1日だから次の町でとりあえず履けるものを買って、
松山できちんとしたのを買わないとね、といわれた。

歩いていくうちに、どんどんと壊れていくなぁ。
カメラのほかに、地図やお参り用品を入れる
小型の肩掛け袋も壊れて、すでに買いなおしている。

歩く上で靴は非常に重要だから、
とりあえず明日1日もってくれるように祈ろう。

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金山出石寺
今日は27日目
昨晩は偶然にも、以前一緒に歩いたお遍路さんと
同宿になった。
宿への到着は私が1番で、それでも17時を過ぎていたが
女将さんが、男性二人連れがこれから来るという。
ふ〜ん、二人連れって珍しいな、ぐらいで受け流した。

二人が到着してから、女将さんが「お知り合いみたいですけど」
顔を合わせて、彼らだとわかってびっくり。
もっと先を行っているかと思っていたのに。
それにしても縁がある。
まったく別行動をしていて、町には他にも泊まる所があるのにね。
あれ以来、彼らは一緒に歩いているそうだ。

今日は特別に気合を入れざるを得ない。
なぜなら、別格7番金山出石寺を打つからだ。
まずはJR卯之町から八幡浜まで電車に乗り
そこから出石山の麓まで歩く。
さらにそこから上りで4時間かかるとお寺さんから聞いていた。

麓までどれくらいかかるかわからないが、山中で暗くなると
身動きが取れなくなるので、早く出発しないといけない。
同じ宿に戻ってくるので、いつもより軽装だ。
7時3分の電車に乗るべく駅へ向かう。
八幡浜に7時23分到着。
キヨスクで道を再確認し、トイレに行って7時35分出発。
余談だが、今日もトイレはないはず。

女将さんが用意してくれた地図を基に歩いていく。
なんと、今日の1枚目はマンホール。

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登校時間と重なるらしく、自転車に乗った高校生が
びゅんびゅんとすれ違っていく。

トンネルを2つ抜け、どんどん山のほうへ向かっていく。
まだここでも高校生とすれ違う。
一体どこから来るのか。

山の麓まででもバスで行ければいいが、こちらへ来るバスは
午後から2本しかない。
午前中に町に出た人を乗せて戻ってくる便だけだ。

やっと麓まで来た。
9時になっている。6Kぐらい歩いたということか。

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金山出石寺まで15Kの標識。
ずっと上りで15K! 脅威だ。
コースに山や峠が入っている場合は、だいたい一日の
行程を20〜23Kぐらいと決めている。
これだと往きだけで1日分を歩くことになる。

あたりは山だらけ。15Kだと目的の山も見えるはずはないが。

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同じところを見ていても、目線が上がっていくと
風景が変わっていく。
それにしても、どんなところにでも人が住んでいる。

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今日はなるべく距離を稼がないといけない。
休憩なしで歩き続けるが、さすがにペースが落ちてきた。
11時だったので、ついでに早めの昼食。
宿からのお接待で頂いたおにぎりを食べる。

適当な石に腰掛け、ふと見上げると…

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見えるだろうか。
この旅始まって以来のセルフポートレイト。

すごい! とうとう海が見えた。

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出石寺へはスタッドレスでないと上がれないと聞いていたので
よほど雪が多いのかと思っていたが、それほどでもなかった。

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山々が下に見え、海が広くなってきた。

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やっと到着。
13時ごろの到着を予定していたが、
ほぼ予定通りの12時55分着。
足がガクガクだ。
手水に厚い氷が張っている。

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お寺は山の頂上。
写真ではわかりにくいが、中央左に見える
雪をかぶった小さな出っ張りが石鎚山。

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ヨレヨレしながらお参りを済ませる。
とにかく少し休憩しないと、降りるに降りられない。

数珠玉を授かろうと納経所に向かうと、
タイミングよく住職?が外に出てきた。
挨拶をして、納経所で数珠玉を授かり、
帰り道を教えていただいていると、寄ってきて
一緒に道を教えてくれた。

さぁ、休憩しようとベンチに向かうと、近くの
ベンチに座って、住職?は日向ぼっこを始めた。
88ヶ寺の話や別格の話、高い山の話をしていると、
私の歩き方を見ていたのか、ちょうどお参りに来ていた
知り合いの方に、少し下まで降ろしてもらうように
頼んであげようか?と仰るのでお願いすると、
私とは方向が違うので、途中まででいいならと
快く引き受けてくださった。

お寺から出ようとする時、急に車が止まった。
お参りに来ていた別の方に、私を乗せていってくれないか
頼んでくださっているようだ。
こちらの方は偶然にも八幡浜から来た方で、
またこちらも快く引き受けてくださった。

最初に乗せてくれた方にお礼を言い、これから乗せてくれる
方々がお参りを済ませられるのを待つ。
「寒いから車に乗っていてね」という温かい言葉に甘え
中でうとうとと、気持ちのいい時間を過ごす。

帰り道、最初はお話しながら乗っていたが、風さえなければ
車の中はポカポカと気持ちいいので、つい居眠りしてしまった。

結局、八幡浜の方だったのに宿のまん前まで
送ってくださった。
眠ってしまったことを詫び、何度もお礼を言った。
本当にありがとうございました。

歩いて帰っていたら、おそらく20時近くになっていたに違いない。
本当に疲れたとき、困ったときに努力さえしていれば、
弘法大師、このお四国は必ず救いの手を差し伸べてくれる。
無宗教者の私でさえ、そう思わずにはいられない。
それを実感した、今日の金山出石寺(しゅっせきじ)だった。


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伊予の道〜歯長峠
今日は26日目
愛媛に入ってからは、山道を歩くか、国道を歩くかという
感じで、山の景色はもちろんきれいなのだが、
撮影する「物」としては非常に少ない。

そして、毎日強風に悩まされている。
同じ距離を進むにしても、少なく見積もって1.3倍は
労力を必要とするのではないだろうか。
これは計算されてこうなっているのかどうかわからないが、
見事なまでにすべて向かい風である。

愛媛=みかんのイメージ、すなわち温暖という感覚を
持っていた私は、いかに土佐の国が温暖であったのかを
思い知った。

さあ、今日も楽しい峠を目指そう!
標高480mの歯長峠越えだ。

まだ雪は降っていないが、微妙な天気。

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四国は山が多いから、川も多い。
忘れられたような日本の風景が残る。

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向こうに見えるのはJR予讃線。
かなり古くなってきているようだが、
周りに溶け込み、一体となっている。

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宿から41番の龍光寺までは7Kぐらい。
結構あっさりと着いてしまった。
でも、油断できない。なにしろ峠が待っている。

次の42番佛木寺までは最短で2.6Kだが、41番から
山を越えるコースと聞き、距離は長いが時間的には
同じぐらいの回り道から行くことにした。
少し歩いたところで、風が強くなったな、と思ったら
突然雪が降り始めた。

向かい風に乗って、降りつける。
足早に佛木寺へと向かう。
到着したころにはすっかり冷えきっていた。

ここで温かいうどんでも食べられたら
どんなに幸せだろう。
でも、やっぱりここでも店はない。
見越して買っておいたパンを、
寒風が吹き付ける遍路小屋で食べる。
自販機で買った温かいココアだけが救い。

寒いのでさっさと食べ終え、峠へと向かう。

峠口はすぐそこ。
登り始めてしばらくすると、おそらくこの旅初めての
鎖場が!

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逆に降りるときのほうが怖そう。

幸い、山の中は木が風をさえぎってくれるので
とてもありがたい。
上ればいつかは峠に着く。

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峠で少し休憩。
後は下りなので楽だ、と思ったら、
下りが急だし、落ち葉が多く、その下がどうなっているのか
まったくわからない。
大きくてつるつるした石がある場所は、
慎重に足場を選ばないと危険だ。

降りるのにかなり時間がかかってしまった。

降りきったところに遍路小屋があったけれど、
ここで休憩している暇はないし、それ以前に
誰かが遍路小屋にテントを張っている。

そのまま歩くが、つらくなってきて、やはり先ほどの
小屋で休憩するべきだったかも、と思っていると、
工事現場の事務所近くに自由な休憩スペースがあり、
そこに滑り込んだ。

寒い。
山を出たとたん、また強風との戦い。
次の43番明石寺まで後5Kぐらいか。

そんなときにも登場します、ご当地マンホール。
昨日のマンホールにパンチがあったので、
今日のは地味に見える。

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結構急いだつもりだが、お寺に着くのは4時を過ぎるだろう。

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さぁ着いた、と思ったが、お寺特有の直前急坂。
ここまで来て…

無事に打ち終え、宿に向かおうと思うが、そちらへの
道がわからない。お寺で尋ねると、
「あぁ、そこならこの上の峠を越えたほうが早いよ。」
「ははは(力なく笑う)…そうですか、ありがとうございます。」

ここまで来たら登りましょう!
と気力をふりしぼってみたものの、上りは少しで
下りのほうが多かった。
降り口のほうでは、古い町並みが迎えてくれた。

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今日の峠越えも無事に終わった。
宿に着くと、明日はもう行けない、と思ったりもするけれど
次の日になれば、歩くしかない。

明日は別格7番、出石寺を目指します。
ちなみに、標高812m!

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とうとうお別れ、そして
今日は25日目
昨日、宿に到着してから疲れがどっと押し寄せて
さすがに少し調整が必要だと感じた。
今日は休養日にしよう。
19K程度に抑えたので、遅めの8時30分出発。
最初のころは15Kでも限界だと思ったのに、
なんという違いなんだろう。

そういえば、昨日出会う人に「今日はどこに泊まるの?」と
たずねられて答えると「ああ、あそこね」という感じだった。
25Kも離れている旅館のことを、よく知っているなぁと思う。
やっぱり土地柄だろうか。

宿の玄関を出たとたん、雪がちらほら。
すぐに「雪が降っている」状態になり、あわててポンチョをかぶる。

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ここのところ何度も書いているが、カメラの調子が悪い。
どこが悪いのかはだいたい見当がついているが、
その部分を直せるわけではない。
できることをして、だめならもうおしまいだ。
1枚撮るために3度も4度もリセットしなおすのは
どう考えても限界だし、時間的なロスも負担になってくる。

しばらく歩くと「松尾トンネル」がある。
このトンネルは1710m、歩いて通過するのに30分程度かかる、
非常に長いトンネルだ。
ただ、脇には歩きの遍路道があって、こちらは
標高220mまで上らなければならないし、距離も
1K程度長くなる。

トンネルのほうが高低差はないだろうが、
危険と排ガスと騒音よりは
私は当然、歩きの遍路道を選ぶ。

ここは意外と明るい遍路道。
一番高いところには、きちんと休憩所も作られていた。

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のぼりはそれなりにしんどいけど、空気はいいし
静かで、鳥の鳴き声も聞こえる。
そういえば、過ぎてしまった高知県は、
異常なまでに鳥の数が多かった。
鳴き出す前の鶯がそこらじゅうにいたりした。

歩きの遍路道を通り抜けると、相変わらず天気は雪模様。

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この写真を撮った直後から、カメラが復帰しなくなった。
もうあきらめるしかないか。

どうしようもないので、そのまま歩く。
まぁ、幸いに撮りたいものもない。

もう少しで国道56号線に出ようというとき、
なんというタイミング!「ヤマダ電機」の看板が見える。
とりあえず、壊れたフードの代わりがないかだけでも
見たいので、足早に店内に入る。

あいにくフードはなかったが、やはりこれを逃すと
カメラ店がなかなかないので、カメラを買うしかない。
店員さんにお願いして、展示のボディに自分の
レンズを取り付け、動作確認。問題なし。
あぁ、決断のとき。

今、一番ほしいカメラではなかったが、2機種で迷い、
後から発売された廉価版に決定。
もう1つは3年ほど前に発売された機種。
いいカメラなのだが、デジカメの3年落ちはきつい。

この2つ以外は使いたいものではないので、
在庫があっただけでも幸いというべきか。
廉価版と言っても、それなりに痛い出費だ。
もう、転ばないようにしないとね。
これから山がたくさん待っているけど…

ヤマダ電機から今まで使っていたボディを自宅に送り
ここで1時間以上、時間を使ってしまった。

今日は早めに宿に入り、ゆっくりするつもりだったのに。
どう見ても、早めに着く時間ではなくなっている。

今朝、通りがかったパン屋さんで昼食用に買ったパンを
歩きながら食べ、道を進める。
黙々と歩き、別格6番龍光院へ向かう。

途中、マンホールの写真を撮っていると、
「お遍路さん、お遍路さん」と女の子の声がする。
振り返ると、中学生ぐらいの女の子が
「寒いのに大変ですね。これお接待です。」と言って
ジョアとチョコレートをくれた。

ちょっとびっくり。だって、中学生ぐらいの子って
だいたい無視か無反応なのに。
「ありがとうございます。」といって受け取る。
「カメラですか?かっこいいですね。」
「町ごとにマンホールの絵柄が違うから撮っているの。」
「ふ〜ん、面白いですね。」

この年頃の子がこういう反応をしてくれるのはうれしい。
未知の可能性を秘めているのだから、どんなものにも
興味を持ってほしいと思う。

道はわかりますか?と親切に聞いてくれ、
ありがとう、わかります、と答えたら
ペコリとお辞儀をして歩いていった。
四国ってすごい場所だよ、本当に。

自分の気持ちが急いでるせいで、今日は写真もそぞろ。
でも宇和島は古い時代の良さがところどころに
多く残っている町。
個人商店が今でも軒を連ねるような、そんなところもある。

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駅前のアーケードに入るとおぉ!カラフルなマンホール。
女の子に話しかけられた時に撮ったののカラー版だ。

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こちらもカラフル。大胆な構図がいいね。

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龍光院に到着。宇和島の町。

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別格では数珠玉を授かっているが、そのときに
7番にかなり雪があって、普通のタイヤだと上れない、と
教えてくださった。
歩きだと伝えると、一人で?と少し驚かれ、お接待を頂いた。

実は別格7番はかなり高い山の上にあり、
時間がかかりすぎるので、バスを利用する予定だったが
そのバスが廃線になったとここではじめて聞いて、
すっかり弱ってしまった。
また予定変更か… それにしてもどうしようかな。

出石寺に電話で相談すると、八幡浜からの自動車道で
来るように言われたので、その方向で検討するしかないようだ。

とりあえず、明日は別な峠越えがあるので、その後になるのだが。
それにしても、毎日峠か山があるなぁ。
そして、結局今日は宿に早くは着かなかった。

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手ごわい伊予の国
今日は24日目
昨晩は観自在寺近くのビジネスホテルに泊った。
素泊まりで、当日でも簡単に予約ができるので
そういった意味では非常に便利だ。

しかし、民宿や旅館に泊ったときより
忙しくなってしまうのが難点。
食事の買出し、もしくは食べに行く時間。
お風呂にお湯をはる手間もある。

民宿や旅館はほとんどが到着すればすぐお風呂に
入れる状態だし、食事も用意してくれるから、
ぎりぎりまで何かすることができる。
そういった意味では大変ありがたいし、
また、それぞれの宿の女将さんに特徴があるので
そんな楽しみもある。

昨日の天気予報では曇りのち晴れ?だったかな。
悪い予報ではなかったので、すっかり安心していた。
今日は昨日の峠越えに続き、山越えがあるからだ。

少しゆっくりめの7:50出発。
出てみてびっくり、なにか不穏な空模様…

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しかも、寒い!
今日は雪になるかもしれない。
昨日、楽しもうなんて考えていたけど、
そんなに甘くないことを思い知らされそうだ。

すぐに雪の混じった雨が降り出した。

少し歩いた海岸線で、バスを待っている女性と出会った。
挨拶をすると「こんな天気なのに大変ね」と声をかけて下さった。

また歩き出してふと海を見下ろすと、すごくきれいな海が
そこに広がっていたので、思わず写真を撮った。

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こればっかりは本物の海の色のほうがきれいだ。
私の力不足にほかならない。

写真を撮っていると、先ほどの女性が駆け寄ってきて
「この海きれいでしょう?私は海岸のところに住んでいるんだけど
この海に気づいてくれてうれしい!もっとみんなに見てほしい。」と
本当にうれしそうに言う。
この海が好きなんだね。

写真には写っていないが、天気がよければ向こう側に
大分県が見えるそうだ。
「今日は古い道を行くの?」とたずねるので
「そうです、山道ですよね。」
「天気が悪いから心配だけど。気をつけてね。」

この天気では、私だって心配である。

まずは例のごとく、登り口まで行かなければいけない。
そこまでが10K。
とりあえず登り口まで行ってみて、様子を見よう。

天気も悪いが、カメラの調子も悪い。
そろそろ限界か…

かなり歩いたころ、1台の車が止まり、
おじさんが降りてきた。
「天気が悪いのに大変だね〜ご苦労様」といって
飴を下さった。
登り口にあるかまぼこ屋のご主人で、山道を行くと聞いて
心配していたが、ご主人お手製の遍路用地図を下さり、
だいたいの所要時間を教えてくれた。
まず、ここから登り口まで1時間だって…
天気が悪いのと、とても風が強いので思ったより進んでいない。

登り口について少し休憩。
あまり雨がひどくないので、このまま行くことにする。

もう、ここからはただ黙々と登っていく。
今日の山道は標高460m地点を通過する。
その地点に近づくにつれ、うっすら雪もありかなり寒い。

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雪になり損ねた雨はもうほとんどやんでいた。
さすがに見晴らしがいい。
向こうに見えるのは九州なんだろうか。

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一番高いところまで来てしまえば、後はほとんど下り。
ここはいままでの遍路道より明るい感じ。

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あんまり変わらないかな?

降りるにつれ、だんだん天候も回復。

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葉っぱが敷き詰められたような、ふかふかの道。

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山道を降り、国道56号線と合流するところにある
遍路小屋で休憩する。
やはりかなり消耗したようで、お接待の温かいお茶がうれしい。

ここから4K。この1時間半が長かった。
山から出ると風を遮るものがないので、強風にあおられる。
ずっと向かい風と戦い続けるのは結構大変だ。
おまけに寒い。

やっと宿の近くまで来た。
あまり振り返る余裕がなかったけれど、工事中の橋ですら
きれいに見せてくれる光があった。

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今日の宿がある小さな町。

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昨日、伊予の国に入ったが、ここは山や峠が多数存在し
高低差が激しい。
土佐の国が一番大変だと聞いていたが、
なになに、まだ2日間ながらかなり手厳しい。

この「菩提の道場」で私は悟りを得られるだろうか。

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歩き、ときどきバス・電車