今日は29日目
もうすぐ1ヶ月だなぁ。
旅に出るといつもそうだが、最初の3日が非常につらく
1週間程度で慣れてきて、その後は帰りたくなくなる。
伊予の国に入ってからは寒さと強風のため
少しめげていたが、ここ2日ぐらいは暖かいので
気持ちが戻ってきた感じがする。
まぁ、皆さんに助けていただいているしね。
頑張ってね!っていう気持ちがあるから助けてくれる。
それなのに、めげてなんかいられない。
朝、宿から出るとあたりには一面霜が下りている。
伊予の国は特に顕著だ。
南天もまるで砂糖を振りかけられたよう。

昨日、宿のご主人にくっつけてもらった靴底は快適だ。
半日もてば何とかなるって言われたけど。
今日は44番大宝寺を目指す。
そこに行くルートは大まかに4つ
1つ目は鴇田峠遍路道、2つ目は農祖峠越え
3つ目は畑峠遍路道、4つ目は車の道。
鴇田峠は標高790mのため、雪が多いと越えられないので
基本を車道で考え、雪の加減を見て農祖峠を選ぶといいと
宿のご主人からのアドバイス。
車道だと距離があるので、できれば農祖峠を通りたい。
当分は国道380号線を歩く。

宿を出ると、出勤や通学の時間と重なるので、
狭い道でもガンガン車が走っていく。
歩道がないので、注意をしていないと危ないくらいだ。
いつものごとく、どんどん奥に入っていく。

新真弓トンネルを抜けると、いきなり白い世界に変わった。

もちろん今日降った雪ではない。
トンネルを抜けたところからは久万高原だ。
ここにもあります、マンホール。

最初、道に毬栗が落ちているのを見た時は「おっ!」と
思ったが、伊予の国には栗がごろごろ落ちている。
あまりにもそこらじゅうに落ちているので、
見てもなんとも思わないが、家の近くなら拾うだろうな〜

380号線から県道42号線に入りしばらく歩く。
そこで逆方向から来たお遍路さんに、
「こんなほうから来たの?車道を行ったら、もうすぐお寺に
着くころなのに。」といわれて「?」
地図を見ても明らかに車道のほうが遠い。
坂は少ないかもしれないが、もう着いているということは
あり得ない。
「まだ山を越えないといけないし、こんな方から来ちゃって。」と
その人は繰り返し言う。
私は「時間もありますし、引き返せないのでまぁ、いいです。」
と言っているのに、
「山を越えるだけで3時間半はかかるよ。時間がすごくかかる。」
と、何度もくどくど言っている。
ははぁ、こういう人がいるっていうのは聞いていたけど。
そんなに時間がかからないのに、かかるといって
その人が落胆するの見てを楽しんでいる人があるという。
それなんじゃない?どう見ても2時間半でお寺に着く。
「時間がかかるなら急がないと」と振り払い、先へ進む。
すぐに歩き遍路道の入り口があり、そこから入っていく。

ここは小川に沿って登っていく、気持ちの良い遍路道。
コンクリートに固められていない川を見ると、
なぜかほっとする。

すぐにところどころ白いものが見え始め、
峠に近づくにつれ、どんどん雪が多くなっていく。

踏み固められたところは滑りやすいので、
踏まれていないがジャリジャリになった部分を歩いていく。
違和感を感じ足元を見ると、またぱっくり靴底がはがれている。
こういう時にこそ、トレッキングシューズがいいのに…
前よりもひどく、くっついているのはつま先から5cm程度。
切ったほうがいいのだが、分厚いゴムを切るものがない。
峠に着いた。
雪の中で石仏がひっそりと佇む。

もうここからはほとんど下り、といっても
お寺自体が高いところにあるので、
平地まで下るほどではない。
お寺の近くに靴屋さんがあると聞いていたので、
ズリズリ引きずりながら、できる限りの速さで進む。
近くにあるはずなのに靴屋が見当たらない。
ちょうど近くの家から出てきた女性に尋ねると
少し離れた(食品)スーパーにちょっと置いている位しか
ないという話。靴屋さんはほとんど店を開けていないという。
スーパーがどこか尋ねると、いまからそちらにいくので
よかったら車で送るといわれ、ご好意に甘える。
彼女の幼い2人のお子さんと一緒に、車で向かう。
到着すると、サイズがないといけないから待っているので
とりあえず見てきてください、との親切なお言葉。
スーパーの雑貨のところに靴がある、という感覚が
ないので、うろうろしているとスポーツ用品店が
テナントで入っていた。
サイズを言うとあるようだったので、彼女のところへ行き
そのことを伝え、御礼を言って別れる。
2種類のランニングシューズを履き比べていると
彼女が現れ、ちょっとびっくり。
一人のお子さんを送って、様子を見に戻ってきてくれたのだ。
靴を買うと、大宝寺までまた送ってくれるという。
なんというありがたさ。
よかったら45番の岩屋寺にも連れて行ってくれるという。
ちなみに45番は今晩の宿から1日がかりで往復する場所。
そこに行くにはまた山道なので、新しい靴では少し心配。
明日でも良いですよ、とのありがたいお言葉に
甘えることにした。
大宝寺への上がり口に着いたのは4時。
彼女を見送ろうとすると、4時半に迎えに来ましょうか?と
もう、ほんとうにどこまで親切なんだろう。
そこまでしていただくと、さすがに申し訳なさ過ぎるので
大丈夫です、というと、5時を過ぎるといきなり寒くなるので
気をつけて、といって去っていった。
少し上って大宝寺に到着。
無事に打ち終えることができた。

毎日のように、誰かが私を助けてくれる。
ここで受けた恩を、どう社会に還元するか
それが戻ってから課せられる私への宿題になるかもしれない。